【重要ワード6】共同体感覚 vs. 私的論理

●はじめに

アドラー心理学では、人間の思考を「私的論理(Private Logic)」と「共同体感覚(Community Feeling)」という二つの視点でとらえます。

  • 私的論理: 個人が勝手に解釈し、独自に意味づけした狭い世界観
  • 共同体感覚: 社会全体や他者とのつながりを意識し、自分もその一員だと感じる広い視点

●私的論理の特徴

私的論理は、誰もが持つ主観的な信念体系です。ところが、あまりに自分の都合や劣等感・優越感に基づいていると、周囲から見ると「独りよがり」「偏見」のように映ることもあります。私的論理が極端になると、他者を排除したり、自己中心的な行動につながりやすいです。

●共同体感覚の意義

一方、共同体感覚は「自分だけでなく、他者も大切」「自分は仲間の一員」と考える態度。ここには自己受容・他者信頼・貢献感が含まれます。自分が完璧でなくても、仲間と支え合い貢献し合えると知ることで、過剰な劣等感や競争心を和らげ、安心して社会に関わることができます。

●両者の対立と折り合い

  • 私的論理 → 自分の思い込みが強い状態
  • 共同体感覚 → 社会や他者と協力しようとする広い視点

極端な私的論理は共同体感覚と衝突するため、自分の考えに固執しすぎると孤立や摩擦が生じがちです。逆に、共同体感覚が育つと、他者との連帯感が高まり、自分の弱さを認めながらも前向きに行動できるようになります。

●まとめ

アドラー心理学において、「私的論理」か「共同体感覚」かは、人間の生き方を大きく左右する分岐点です。個人の視点だけに閉じこもるか、他者とのつながりや社会全体を見据えて行動するか――この違いが、ライフスタイルや対人関係の質を大きく変えていきます。

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