【重要ワード3】バースオーダー (Birth Order)

●はじめに

アドラー心理学では、子どもが家庭内でどのような立ち位置(兄、弟、末っ子、一人っ子など)にいるかが、その後のライフスタイルに影響を与えると考えられます。これを「バースオーダー (Birth Order)」の理論と呼びます。必ずしも運命的に決まるわけではありませんが、「長子は責任感を感じやすい」「末っ子は甘え上手」など、統計的に見られる傾向があるのです。

●バースオーダーの典型的特徴

  1. 第一子: 親の期待を一身に受けやすく、責任感やリーダーシップを発揮する反面、プレッシャーを感じやすい。
  2. 中間子: 上と下にはさまれて目立ちにくい立場。協調性が身につくことも多い一方、埋没感を持つ場合も。
  3. 末っ子: 家族の中で最も年下のため、甘やかされる傾向があり、自由奔放になりがち。ただし、甘え癖や依存体質のリスクも。
  4. 一人っ子: 家の中で大人に囲まれて育つため、大人びた感受性を持ちやすいが、他の子どもとの関わりに慣れず孤立する場合も。

●ライフスタイル形成との関連

バースオーダーの特徴は、幼少期の家族関係の中で形成される「ライフスタイル」に大きく影響します。たとえば、長子であれば「何かと他者の期待に応えようとする」パターンを身につけやすく、中間子であれば「争いを避けて調整役に回る」行動を取りやすい、など。

●一例であり絶対ではない

重要なのは、バースオーダーはあくまでも「そうなりやすい傾向」に過ぎないという点です。親の育て方、子どもの性格、家族構成や生活環境など、さまざまな要因が絡むため、同じ長子でもまったく違うライフスタイルを身につける可能性は十分にあります。

●まとめ

アドラー心理学が説くバースオーダーは、子どもの生育環境を理解するうえで有用なヒントを与えてくれます。ただ、固定観念にならないよう注意が必要です。兄や姉だから必ずリーダーシップがあるとは限らないように、家族の状況や本人の特質も併せて見ていく柔軟な姿勢が大切です。

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