はじめに
たくさんの友だちのなかでも、
なぜか特別に、心が通じ合う存在。
言葉にしなくても伝わる気持ち。
それでも、すれ違ったり、寂しくなったり、
親友との関係は、実はとても繊細です。
「もっとわかってほしいのに、うまく伝わらない」
「大切だからこそ、傷つくことが怖い」
――そんなふうに、友情にも迷いや不安が訪れること、ありますよね。
アドラー心理学は、
どんな関係も、**「対等な横の関係」**の上に築かれると教えます。
依存ではなく、尊重と信頼でつながること。
それが、本当の友情の土台なのです。
ここでは、親友との間でよく起きる3つの葛藤をもとに、
アドラー流のあたたかい向き合い方を一緒に考えていきます。
1. わかってもらえないと寂しくなるとき
◇こんな気持ち、抱えていませんか?
「どうしてこんなに大事に思っているのに、わかってくれないんだろう」
「本当は、ただそばにいてほしかっただけなのに」
親友だからこそ、わかり合いたい。
でも期待が高いぶん、すれ違いが起きたとき、
ひときわ深い寂しさを感じることもありますよね。
◇アドラー心理学での見立て
アドラー心理学では、
他者との関係において、
「他人を完全にコントロールすることはできない」
と考えます。
親友といえど、別々の人生を歩むふたり。
- 感じ方も
- タイミングも
- 大切にしていることも
すべてが同じではないのが、自然なことなのです。
◇あたたかい解決アプローチ
【ステップ1】「わかってほしい」を少しだけ手放す
相手に完璧な理解を求めすぎないでいいのです。
「たとえ全部は伝わらなくても、大事な関係に変わりない」
そう思えると、心がぐっと軽くなります。
【ステップ2】自分の気持ちを小さくでも言葉にする
「寂しかったな」
「わかってもらえたらうれしいな」
期待を押しつけるのではなく、素直な感情を静かに伝えること。
それが、相手にも無理なく届きます。
【ステップ3】相手の“できる範囲”を信じる
あなたが期待した形ではないかもしれない。
でも、相手なりに一生懸命、
あなたとの関係を大切にしようとしていることも、たしかなのです。
2. 距離ができたときに不安になるとき
◇こんな気持ち、抱えていませんか?
「最近、前みたいに連絡が来ない」
「ほかの友だちと仲良くしているのを見ると、さみしくなる」
環境やライフステージの変化で、
物理的な距離や心の距離ができたとき、
不安や孤独を感じることがありますよね。
◇アドラー心理学での見立て
アドラー心理学では、
人はそれぞれ、
自分の課題を選び、人生を歩む自由があると考えます。
つまり、親友もまた、
- 新しい環境で
- 新しい人たちと
- 新しい課題に取り組んでいる
それは、あなたを忘れたからでも、
裏切ったからでもなく、
自分の人生を誠実に生きている証なのです。
◇あたたかい解決アプローチ
【ステップ1】「離れても消えないものがある」と信じる
距離があっても、
「大事に思っている気持ちは、ちゃんと続いている」
と信じましょう。
物理的な近さだけが、絆の証ではありません。
【ステップ2】無理に距離を縮めようとしない
不安な気持ちに飲み込まれて、
- 返信を急かしたり
- 頻繁に連絡を取りすぎたり
しないように気をつけましょう。
相手のペースを尊重することが、
かえって信頼を深める道になります。
【ステップ3】自分自身の世界を豊かにする
親友との関係がすべてではありません。
あなた自身の世界を広げ、
- 趣味
- 勉強
- 新しい出会い
に目を向けることで、
よりしなやかに友情を育てられるようになります。
3. 自分だけが頑張っている気がするとき
◇こんな気持ち、抱えていませんか?
「いつも私ばかり気を使っている気がする」
「大事に思っているのに、片想いみたいで苦しい」
親友との関係で、
自分ばかりが努力しているように感じると、
ふと、疲れたり、悲しくなったりすることもありますよね。
◇アドラー心理学での見立て
アドラー心理学では、
どんな関係も対等であるべきだと考えます。
- 一方的に与えるのではなく
- お互いに与え、受け取り合う関係
それが、健やかな横の関係です。
もし今、あなたがひとりで背負いすぎているなら、
少し力を抜いてもいいのです。
◇あたたかい解決アプローチ
【ステップ1】自分が与えたい分だけ与える
見返りを求めず、
「私はこれをしたいからしている」
そう思える範囲で愛情を注ぎましょう。
無理をしないことが、関係を長く続けるコツです。
【ステップ2】小さな「ありがとう」に気づく
相手がしてくれた小さなこと――
- 笑ってくれた
- 話を聞いてくれた
- 気にかけてくれた
それを見逃さず、
「うれしかったよ」
と伝えることで、
ふたりの関係にあたたかい循環が生まれます。
【ステップ3】必要なら、そっと距離を置く勇気も持つ
疲れたときは、無理に頑張り続けず、
静かに距離を置くこともひとつの選択肢です。
あなたがあなたを大切にすることは、
友情を守ることにもつながります。
まとめ
親友とは、
すべてがわかり合えるわけではない。
でも、
わからない部分も含めて、
尊重し合える関係こそが、
本当の友情なのだと、アドラー心理学は教えてくれます。
- 完璧を求めず
- 支配せず
- お互いを信じ合うこと
それが、
時間を越えて続く友情を育てる、
いちばん確かな方法です。