「子どもを叱ってばかりで疲れてしまう」「自信を持って挑戦できる子に育ってほしい」と思い、アドラー心理学の本を探していませんか。興味はあっても、どの本から読めばよいのか、考え方を実際の子育てにどう生かすのか、迷うこともあるでしょう。
最初の一冊は、有名かどうかよりも、今の悩みに合った説明や具体例があるかを基準に選ぶのがおすすめです。この記事では初心者が検討したい3冊を紹介し、選び方と基本的な考え方、家庭で試すための声かけをわかりやすく整理します。
なお、記事内の会話例は、本の文章の引用ではなく、家庭での使い方を考えるために作成した例です。すべてを一度に実践しようとせず、親子に合いそうな工夫を一つ見つけるつもりで読んでみてください。
子育てに役立つアドラー心理学の本3選
今回は、親子関係を学びたい人、子どもを見る視点を見直したい人、勇気づけを具体的に考えたい人に向けて、3冊を紹介します。優劣をつけたランキングではなく、読む目的に合わせた候補として比較してください。
迷ったときは、まず目次を見て、今困っている場面に近い項目を探しましょう。「これなら今日の自分にも読めそう」と感じる文章かどうかも、選ぶときに大切にしたいポイントです。
親子関係の基本から学ぶなら『改訂版 叱らない子育て』
岸見一郎著、Gakken発行の『改訂版 叱らない子育て』は、子どもの行動の理解から、叱ること・ほめること、勇気づけ、自立の援助までを扱う本です。課題の分離や親子の協力についても項目があり、声かけだけでなく、関係づくりの考え方を知りたい人の候補になります。
選ぶ際は、タイトルの「叱らない」を、何も注意せずに見守ることだと受け取らないようにしましょう。読むときの問いを「叱る代わりに、必要なことをどう伝えるか」にすると、家庭で試す行動を考えやすくなります。
例えば、片づけをめぐって毎日言い争うなら、親が何に困っているのか、子どもにどこまで任せたいのかを書き出してみてください。そのうえで関連する章を読むと、自分の家庭ではどのような対話ができそうかを検討できます。
本記事では、最初の一冊で親子関係の全体像をつかみたい人に、この本をおすすめします。一方、読んですぐに言葉が変わらなくても、自分を責めず、気になった場面に戻るための本として手元に置く読み方でも十分です。
子どもを見る視点を見直すなら『子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気』
『子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気』は、岸見一郎が著し、幻冬舎から刊行された本です。子どもとよりよい関係を築くためのアドラーの考え方を扱っており、親子関係を改めて考えたいときの選択肢になります。
本記事では、「何と言えば動いてくれるか」だけでなく、「自分は子どもに何を期待しているか」を考えたい人におすすめします。読む前に、成績、生活習慣、友人関係など、つい口を出したくなるテーマを一つ決めてみましょう。
例えば、テストの点数を見ると不安になるなら、点数そのものへの心配と、子どもの将来への心配を分けてメモしてみてください。そのメモと照らし合わせながら読むことで、本の考え方に納得できる部分と、まだ疑問が残る部分を整理できます。
気に入った考え方も、そのまま子どもへの説教に使うのではなく、自分の接し方を見直す材料にすることをおすすめします。「あなたもこう考えるべき」ではなく、「次に話すときは、まず本人の希望を聞いてみよう」と、自分が選べる行動に置き換えてみましょう。
勇気づけのヒントを探すなら『アドラー博士の子どもを勇気づける20の方法』
星一郎著の『アドラー博士の子どもを勇気づける20の方法』は、子どもの自信を支えるためのヒントを20項目にまとめた本です。サンマーク出版の文庫版があり、子どもだけでなく、親自身の子育てのよいところにも目を向ける内容として紹介されています。
本記事では、勇気づけという言葉は知っていても、家庭で何から始めればよいかわからない人におすすめします。読む際は、20の方法をすべて身につけようとせず、今の親子に合いそうな項目を一つ選ぶところから始めましょう。
例えば、失敗を嫌がる子への関わりを考えたいなら、成功したときだけ声をかけていないか、自分の普段の行動を振り返ってみてください。「最後までできたか」以外に、工夫したことや助けを求められたことなど、自分が気づいた点を書き添える読み方もできます。
また、内容を試す前に、その工夫が子どもを思いどおりに動かすための手段になっていないかも確かめてみましょう。購入や取り寄せの際は、書名と著者名に加えて版や出版社も確認し、手に取る本を間違えないようにしてください。
初心者が子育て向けの本を選ぶときのポイント
最初から何冊もそろえる必要はありません。まずは「今いちばん困っている場面」と「読書に使える時間」を基準に、一冊を選んでみましょう。
理論をじっくり理解したいのか、具体的なやり取りを考えたいのかによっても、読みたい本は変わります。ここでは知名度や評判だけに頼らず、自分にとって使いやすい本かどうかを確かめる視点を紹介します。
年齢だけでなく、今困っている場面に合わせる
選ぶ前に、「子どもに自信をつけたい」という大きな希望を、日常の場面に置き換えてみましょう。「失敗すると途中でやめる」「朝の支度で毎日言い合いになる」など、具体的にすると確認したい内容が明確になります。
幼児とのやり取りを考えたいなら、短い言葉での伝え方や、大人が一緒に取り組む例があるかを見てください。小学生の宿題が悩みなら、本人に任せる部分と親が手伝う部分を考えられる説明があるかを確認しましょう。
思春期の子どもとの会話を見直したい場合は、親の意見を伝えることと、本人の意思を尊重することの両方を扱っているかを見てみます。対象年齢が近くても、自分の家庭の悩みと内容が合わなければ、別の本を選んで構いません。
また、子どもが「しない」のか、手順がわからず「できない」のかを分けて考えられる本かどうかも、選ぶ視点に加えてください。目次だけで判断しにくいときは、悩みに近い節を少し読み、具体的な状況まで想像できるかを確かめるのがおすすめです。
読みやすさと、説明の納得しやすさを確認する
読みやすい本を選ぶときは、文字の量だけでなく、専門用語に説明があるかを確認しましょう。「勇気づけ」「課題の分離」といった言葉を見て、意味を自分の言葉で言い直せるかを一つの目安にしてください。
会話例がある本を選ぶ場合も、言い換えの答えだけでなく、なぜそのように伝えるのかが説明されているかを見てみます。親子で意見が一致しない場面について、自分ならどう対応するか考えられる内容を選ぶのがおすすめです。
試し読みでは、納得できる説明だけでなく、違和感がある表現にも注目しましょう。「これを守れない親はだめだ」と感じて苦しくなるなら、その場で購入を決めず、ほかの本と読み比べて構いません。
読む時間が取りにくい場合は、一つの節を短時間で読み切れるか、途中から読み直しやすいかも確認してください。読了を最優先にするのではなく、必要なときに開きたくなる一冊を選び、無理のないペースで付き合っていきましょう。
本を読む前に知りたいアドラー心理学の基本
ここでは、本を読み進める手がかりとして、勇気づけと課題の分離を取り上げます。用語を正確に暗記するよりも、家庭でどのように受け止めるかを考えてみてください。
この記事では、子どもを一人の相手として尊重することと、大人として必要な支えを提供することの両立を大切にします。「ほめない」「任せる」といった短い言葉だけを切り取り、関わりを減らす方向へ急がないようにしましょう。
勇気づけは、評価よりも取り組みや協力に目を向ける
アドラー心理学の子育て論では、子どもの自立と、他者と協力して暮らすことが重視されます。勇気づけは、自分には課題に取り組む力があるという感覚を持てるように支える考え方で、所属感や他者への信頼も大切な要素です。
家庭で試すなら、「すごいね」と評価する言葉だけで終わらせず、実際に見たことを伝えてみましょう。例えば、難しい工作に取り組んでいたら、「何度も形を変えて試していたね」と、工夫に目を向ける言い方が考えられます。
手伝ってくれたときには、「お皿を運んでくれて助かったよ」と、協力してもらったことへの感謝を伝えてみてください。ただし、役に立ったときだけ話しかけるのではなく、何もしていない時間にも、話を聞いたり一緒に過ごしたりすることを大切にしましょう。
実践では、自然に出る喜びの言葉まで禁止するような、厳しいルールを自分に課す必要はありません。「よい結果を出したときしか認めていないのではないか」と振り返り、結果以外にも目を向けるきっかけとして取り入れてみてください。
課題の分離は、突き放すのではなく役割を整理する
課題の分離は、親が引き受けることと、子ども自身が取り組むことを区別して考えるための視点です。子育て向けのアドラー心理学では、課題を分けることだけでなく、共同の課題として協力することも扱われています。
例えば宿題なら、親が答えを完成させることと、子どもが取り組めるように支えることを分けて考えてみましょう。「わからないところを一緒に確認する」「静かに使える場所を用意する」といった援助は、本人の代わりに解くこととは区別できます。
一方、「あなたの課題だから知らない」と言って、困っている子どもから離れる使い方は避けてください。本人に任せる前に、何をすればよいかわかっているか、必要な道具があるか、どこで手が止まっているかを一緒に確認しましょう。
家庭での判断に迷ったら、「誰がやるか」だけでなく、「どこまで一人でできて、どこから助けが必要か」と問い直してみます。安全や健康に関わることまで本人任せにせず、親が担う保護と、子どもの選択の余地を両立させる方法を考えてください。
読んだ内容を子育てに生かす声かけの実践例
ここからは、宿題と片づけを例に、読書で得た視点を家庭の会話へ置き換えてみます。紹介する言葉は唯一の正解ではないので、子どもの年齢や普段の話し方に合わせて調整してください。
目標は、一度の声かけで言うことを聞いてもらうことではありません。親の希望も子どもの事情も確認しながら、次に何をするかを一緒に考える練習として試してみましょう。
宿題をしないときは、始められない理由を一緒に探す
宿題に手をつけない場面では、まず「まだやっていない」という事実と、「やる気がない」という親の解釈を分けてみましょう。「どこから始めるか決まっている?」と聞き、本人がどの部分で困っているのかを確認するところから始めてみてください。
問題文がわからないなら最初の一問を一緒に読み、量に戸惑っているなら、取り組む範囲を区切る相談ができます。疲れていると言うなら、「少し休んでからにするなら、いつ声をかけようか」と、休憩後のことも含めて話してみましょう。
時間の選択肢を出す場合は、親にとって都合のよい答えを言わせるための質問にしないことも大切です。「今か五分後か」では対応できない事情があれば、本人の提案を聞き、家庭の予定との折り合いを探してください。
取り組めた後は、点数や終わった速さだけでなく、「難しいところを聞きに来たね」と、助けを求めた行動にも目を向けてみます。うまく進まなかった日は、「次は何があると始められそうか」を振り返り、説教で一日を締めくくらない工夫をしてみましょう。
片づけをしないときは、困りごとと依頼を具体的にする
片づけでは、「ちゃんとして」「いつも散らかして」と言いたくなったら、まず何に困っているのかを具体的にしてみましょう。「床のおもちゃで通りにくいから、夕食前にここを空けたい」と、状況と希望を分けて伝える方法があります。
そのうえで、「ブロックと絵本、どちらから戻す?」と聞いたり、「この箱に一緒に入れよう」と誘ったりしてみてください。片づけという言葉だけでは作業がわかりにくそうなら、戻す場所を一つずつ示すやり方も検討しましょう。
途中の作品を壊したくないと言われた場合は、片づけないことをすぐに反抗と決めつけず、残しておける場所がないかを相談してみます。「通路は空ける」「作品は棚に置く」というように、お互いの希望を両立できる案を探してください。
片づけが終わったら、「ここが空いて歩きやすくなった、ありがとう」と、変化と感謝を伝えてみましょう。難しかった場合は注意の回数を増やす前に、収納場所や量、片づける時間帯など、親が変更できる条件を一つ見直してみてください。
アドラー心理学の本を無理なく役立てるために
本の考え方に納得できても、忙しい日常でいつも実践するのは難しいと感じるかもしれません。そんなときこそ、本を「よい親かどうかの採点表」にしないことを大切にしてください。
読書の目的は、家庭に新しい義務を増やすことではなく、困ったときに選べる対応を増やすことです。最後に、考え方を極端に受け取らず、親自身の負担にも配慮しながら続けるための読み方を紹介します。
「叱らない」を、何でも許すことに置き換えない
家庭で取り入れる際は、怒鳴ったり人格を否定したりしないことと、必要な制止やルールをなくすことを区別しましょう。危険な行為があれば、考え方の実践よりも先に安全を確保し、落ち着いてから何が危なかったかを伝えてください。
例えば、きょうだいをたたこうとした場面なら、まず止めて距離を取り、たたかれそうになった子の安全を守ります。その後で「嫌だったことは聞くけれど、たたくことは止める」と、気持ちを聞く姿勢と行動の制限を分けて伝えてみましょう。
また、親子を対等な相手として扱おうとしても、大人としての責任まで子どもと同じにする必要はありません。子どもの意見を聞いたうえで、親が引き受ける判断については、その理由を年齢に合う言葉で説明するようにしてください。
親が感情的になったときには、「大きな声で言ってしまった、ごめんね」と、自分の行動について謝ることも選択肢です。ただし、謝ることと必要なルールを撤回することは分け、「伝え方はよくなかったが、安全のために守りたいこと」を落ち着いて話し直しましょう。
一度に変えるのは一つだけにして、必要なら相談する
一冊読み終えたら、印象に残ったことをすべて実践するのではなく、翌日に試す行動を一つだけ決めましょう。「朝の最初の一言を変える」「手伝ってくれた場面で具体的に感謝する」など、自分で実行できる小さな目標がおすすめです。
振り返りでは、子どもが従ったかどうかだけでなく、自分が話を聞けたか、依頼を具体的にできたかも確認してください。反応が変わらなくても、すぐに失敗と結論づけず、その場の状況や声をかけるタイミングをメモしてみましょう。
家族と共有するときも、「この本が正しいから従って」と求めず、「私は次にこう話してみたい」と、自分の提案として伝えることをおすすめします。家族全員の考え方を一度にそろえるよりも、繰り返し困る場面について、できる対応を一つ相談してみてください。
本を読んでもつらさが続くときや、家庭だけで対応することに限界を感じるときは、一人で抱えず、身近な子育て相談先につながることも考えましょう。自分に合う一冊を選ぶことから始め、読書と実生活を行き来しながら、親子に無理のない関わり方を探していってください。
よくある質問
アドラー心理学を初めて読むなら、どんな子育て本を選べばよいですか?
最初は、専門用語の説明と、家庭での具体例の両方がある本を選ぶのがおすすめです。「叱る回数を減らしたい」「宿題への口出しを見直したい」など、今の悩みを一つ決め、目次に近いテーマがあるかを確認しましょう。
試し読みでは、説明を自分の言葉で言い直せるか、無理なく読み進められるかも確かめてください。知名度だけで決めず、気になった箇所に戻って読み直したくなる一冊を選びましょう。
最初から複数冊を買いそろえる必要はありません。
アドラー心理学の子育て本は、子どもが何歳から読むとよいですか?
読む時期を一律に決めるより、親が今の関わり方を見直したいと感じたときに手に取ってみてください。ただし、本に出てくる対応を、そのままどの年齢にも当てはめることは避けましょう。
幼い子には短い言葉と具体的な手助けを意識し、成長した子には本人の希望を聞く時間を取るなど、使い方を調整することをおすすめします。年齢だけでなく、その子が一人でできること、説明があればできること、一緒に取り組む必要があることを確認しながら読んでみましょう。
本を読んだら、子どもをほめることはやめたほうがよいですか?
この記事では、ほめ言葉を一律に禁止する取り入れ方はおすすめしません。まずは、結果がよいときだけ認めていないか、親の期待に応えたときだけ喜んでいないかを振り返ってみてください。
そのうえで、「何度も試していたね」と取り組みを伝えたり、「手伝ってくれて助かった」と感謝したりする表現も試してみましょう。うれしい気持ちを隠す必要はありません。
使ってはいけない言葉を増やすのではなく、結果以外にも関心を向けるための読書にしていくことをおすすめします。
課題の分離を意識するなら、宿題や忘れ物には口を出さないほうがよいですか?
この記事では、「一切口を出さない」と決めるのではなく、本人に任せる部分と、親が支える部分を相談することをおすすめします。宿題なら、問題を代わりに解くことと、わからない箇所を一緒に確認することを分けて考えてみましょう。
忘れ物についても、責める代わりに、準備する時間や確認方法を本人と話し合う方法があります。任せる前には、手順が理解できているか、必要な道具があるかを確かめてください。
助けを求められる関係を残したうえで、任せる範囲を調整していきましょう。
本のとおりに実践できず、かえって落ち込むときはどうすればよいですか?
まず、実践することを一つに減らし、読書を休むことも選択肢にしてください。本を守れたかどうかで、自分の子育て全体を採点しないようにしましょう。
振り返るなら、「最後まで話を聞こうとした」など、自分が試せた行動にも目を向けてみてください。余裕がない日は新しい声かけを増やすより、家事や育児の負担を誰かと分けられないか考えることも大切です。
つらさを一人で抱え続けず、身近な人や子育て相談先に、うまく説明しようとせず今の状況を話してみてください。
完璧な対応ではなく、親子が無理なく続けられる工夫を一つ見つけることから始めてください。

