子供向けのアドラー心理学の本を探していても、子供自身が読む本なのか、保護者が子育てのために読む本なのか、判断に迷うことはありませんか。有名な本を選んでも、言葉が難しかったり、子供の関心と合わなかったりすると、読み進めにくいものです。
最初の一冊は、子供が興味を持てるテーマと、無理なく読める文章量を基準に選びましょう。この記事では、子供と読む候補2冊に加えて一般向け・保護者向けの関連書2冊を紹介し、年齢別の選び方から家庭での取り入れ方まで解説します。
子供向けのアドラー心理学の本を探すなら、まず検討したい2冊
最初に紹介するのは、親子でアドラーの考え方に触れたい場合と、10代の子供が人間関係を考えたい場合の候補です。本の優劣を順位づけするのではなく、読む目的によって選び分けてください。
なお、以下の読み方や向いている場面は、本の紹介内容を踏まえた編集上の提案です。特定の学年なら必ず理解できるという意味ではないため、購入前に試し読みなどで文章の難しさを確かめると安心です。
親子で考える入口に『自分で決められる人になる! 超訳こども「アドラーの言葉」』
齋藤孝著、KADOKAWA刊の本書は、アドラーの教えをわかりやすい表現に置き換え、親子で学ぶことを意識した一冊です。80ページの構成で、専門的な理論書を読み始める前の候補として検討できます。
おすすめしたいのは、子供だけに本を渡すよりも、大人も一緒に考える時間をつくりたい家庭です。「自分で決めるって、どんなことだろう」と、日常の小さな選択につなげて読んでみてください。
例えば、休日に何をして遊ぶかを決める場面なら、自分の希望と家族の希望をどう扱うか話し合えます。本の言葉を暗記させるのではなく、子供が自分なりの例を思い浮かべるために使う読み方です。
一方、ページ数が少ないからといって、すべての内容をすぐに理解する必要はありません。言葉の意味がつかみにくいところは大人が身近な場面に置き換え、関心の薄いところは後回しにしましょう。
子供が本の考え方に賛成しないときも、その意見を訂正するために読み続けないことが大切です。「そう感じたんだね」と受け止められるなら、親子の違いについて話すきっかけとしても活用できます。
10代の人間関係を考えるなら『アドラー流 人間関係の知恵』
岩井俊憲著、誠文堂新光社刊の『アドラー流 人間関係の知恵 振り回されない心のつくり方』は、10代の人間関係をテーマにした本です。友達、先輩や先生、親子の関係などを取り上げ、アドラーのコミュニケーションの考え方を解説しています。
子供自身に「人付き合いについて考えてみたい」という関心があるなら、候補に入れてみてください。漠然と心理学を学ぶより、いま気になる関係から本を選びたい場合に検討しやすいでしょう。
渡すときは「あなたの悪いところを直す本」ではなく、「気になるところがあったら読んでみる?」と提案する形がおすすめです。購入を決める前に目次を一緒に確認し、本人が読みたいと思えるテーマがあるか尋ねてみましょう。
読後に、学校での出来事をすべて説明してもらう必要はありません。感想を聞くとしても、具体的な友達の名前や相談内容まで話すかどうかは、本人に選んでもらってください。
親も読む場合は、子供の行動を評価する材料ではなく、自分の接し方を見直す材料にすることを提案します。「こうするべき」と答えを先回りせず、話したくなったときに一緒に考える姿勢で手渡しましょう。
一般向け・保護者向けの関連書は、子供向けと区別して選ぶ
アドラー心理学に関する本には、子供を扱った内容でも、実際の読者は保護者というものがあります。ここから紹介する2冊は、前の2冊と同じ意味での子供向け入門書としては扱わず、家庭の目的に合わせた関連書として検討してください。
子供が理論をもっと知りたい場合と、親が声かけを見直したい場合では、必要な本が異なります。誰の疑問に答える一冊なのかを先に決めると、選ぶ理由が明確になります。
考え方を深めたい場合の候補『嫌われる勇気』
岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社刊の『嫌われる勇気』は、哲学者と青年の対話を通してアドラーの思想を説明する本です。296ページの一般向け書籍であり、幼い子供に向けた短い入門書とは構成が異なります。
本記事では、年齢だけで薦めるのではなく、長い対話を読みながら理由や反論を考えたい子供の発展的な候補と位置づけます。まず数ページを読み、会話の進み方や言葉遣いに本人が興味を持てるか確認してください。
保護者が先に読む場合も、印象に残った表現だけを抜き出して子供への指示に使わないようにしましょう。強い言い切りに出合ったら、その前後で何を論じているのかまで考える読み方をおすすめします。
例えば、子供が内容に反発したときは、「まだ理解できていない」と片づけず、どこに納得できなかったのか聞いてみてください。本に書いてあることと自分の経験を比べる時間を、正解を確認する時間に変えないことが大切です。
読んでいて負担を感じるなら、最後まで読み切る必要はありません。いったん親子向けの本に戻る、興味のある箇所だけ大人と話すなど、読書の進め方そのものを本人が選べるようにしておきましょう。
親の関わり方を考えるなら『叱らない子育て』
岸見一郎著、学研刊の『叱らない子育て』は、アドラーの考え方から親子の関係や子供への関わり方を考える保護者向けの本です。「子供本人に心理学を学んでほしい」という目的ではなく、親側の対応を振り返りたいときに検討する一冊です。
子供のための本を探していても、実際の困りごとが「毎朝同じことで怒ってしまう」なら、まず大人が読む選択もあります。子供に新しい知識を求める前に、自分が何を伝えたいのかを整理する使い方を提案します。
読書の際は、これまでの子育てを採点するのではなく、変えてみたい場面を一つだけ選びましょう。例えば、帰宅直後に宿題の確認を重ねているなら、どのタイミングで話すかを子供と相談するところから始められます。
また、本のタイトルを家庭の絶対的なルールにして、怒りを感じた自分を責め続ける必要はありません。感情が動いた事実と、その後にどんな言葉で伝えるかを分けて振り返ってみてください。
子供と一緒に読む本を探す場合も、親向けの本を探す場合も、目的は家族に合う関わり方を考えることです。一冊の方法をそのまま再現しようとせず、家庭の事情に照らして取り入れる部分を選びましょう。
年齢と読書経験に合わせた子供向けの本の選び方
本選びでは学年を参考にしながらも、普段どのような文章を読んでいるかを確認しましょう。「小学生だからこの本」「中学生なら読めるはず」と決めず、本人が読み進められるかを優先してください。
ここでは、読み聞かせや共同読書を中心にする場合と、一人で読む場合に分けて選び方を提案します。ふりがなの有無、文字の大きさ、一つの話の長さも、実際の紙面で確認しておきたいポイントです。
未就学児・小学校低学年は、一緒に読める部分から選ぶ
未就学児や小学校低学年に手渡すなら、最初から心理学の用語を覚えることを目標にしない読み方をおすすめします。子供が普段使う言葉で説明できそうか、学校や家庭の場面に置き換えられそうかを基準に中身を見てください。
読み聞かせをする場合も、本文を最初から最後まで続けて読む必要はありません。気になる部分を一緒に眺め、「こんなときはどうしたい?」と短く話せる範囲で始めましょう。
購入前には、ふりがながあるかだけでなく、読み上げたときに意味をつかめそうかも確認します。漢字を読めても言葉の意味がわからない場合は、子供が知っている言い方に置き換えられるか考えてみてください。
例えば「自分で決める」を扱うなら、翌日に着る服や遊ぶ順番など、実際に選べることを話題にします。まだ一人では難しい判断まで任せるのではなく、大人が支える範囲を残したうえで選択の機会をつくりましょう。
紹介した本の文章が難しそうなら、購入を急がず、友情や協力を扱う絵本について話すところから始めても構いません。アドラー心理学の名前が付いた本を読ませることより、子供と無理なく会話できることを優先してください。
小学校高学年・中学生以降は、本人の関心と文章量を確認する
小学校高学年以上で一人読みを考えるなら、まず本人に、どんな内容なら読んでみたいか尋ねてみましょう。友達との付き合い方、自分の意見の伝え方、失敗したときの考え方など、入口は一つに絞らなくても構いません。
目次を見せるときも、親が気になった項目を指定するより、子供が選んだ箇所を尊重する読み方がおすすめです。最初の章ではなく途中から読みたいと言った場合も、話のつながりに支障がなければ、その関心を出発点にしてください。
漫画やイラストの多い形式を選ぶ場合は、絵の量だけでなく、説明文や会話の難しさも確認しましょう。見た目は親しみやすくても、登場人物の悩みが仕事や夫婦関係に偏っていれば、今回の目的とは合わないかもしれません。
反対に、文章が中心の本でも、本人が問いを深く考えたいなら候補から外す必要はありません。数ページを試し、知らない言葉を調べながらでも続きを読みたいと思えるかを聞いてみてください。
購入に迷う場合は、図書館や書店で、学年に加えて読書の得意不得意と探しているテーマを伝える方法もあります。「最後まで読める本」だけでなく、「本人が開いてみたい本」を一緒に探す姿勢を大切にしましょう。
本を読む前に知っておきたいアドラー心理学の基本
親子で読むときは、用語をたくさん覚えるより、どのような関係を目指すのかを大人が整理しておきましょう。アドラー心理学に基づく子育てでは、子供を対等な一人の人として尊重し、自立と他者との協力を大切にします。
家庭で読む際には、これを子供への命令や評価に置き換えないことを意識してください。以下では、考え方を日常の言葉に置き換える例と、読み違いを防ぐための注意点を紹介します。
勇気づけは、子供を思いどおりに動かすために使わない
アドラー心理学に基づく子育てでは、子供が自分の力を感じ、周囲を仲間として捉えられることが重視されます。親が一方的に従わせるのではなく、対話と協力を通して問題を解決する方向を目指す考え方です。
家庭での勇気づけを考えるなら、望む結果を出させる言葉を探すより、本人が取り組んだことに目を向けてみましょう。例えば、難しい問題に向き合っていたなら、「わからないところを調べていたね」と、見えた行動を具体的に伝える方法があります。
その際、「だから次は満点を取れるはず」と期待を付け足す必要はありません。子供が悔しがっているときも、すぐに前向きな気持ちへ変えようとせず、「どこが難しかった?」と話を聞くことから始めてください。
お手伝いの場面では、「運んでくれて助かったよ」と、自分が感じた感謝を伝えてみましょう。ただし、家族の役に立ったときだけ優しくするのではなく、何もできなかった日にも関心を向けることを忘れないでください。
これらの言葉を決まった台本として使い、反応が変わるか試す必要はありません。子供の気持ちを確かめながら、その場で本当に伝えたいことを選ぶための例として取り入れることをおすすめします。
自分で考えることと、一人で抱え込ませることを分ける
自立や自己決定を家庭で考える際は、「自分で決めたのだから、何があっても一人で解決して」と突き放さないようにしましょう。本記事では、自分で選ぶ機会と、必要なときに助けを求められる関係を、両方残す読み方をおすすめします。
例えば宿題なら、大人が答えを全部用意する代わりに、どこで困っているかを一緒に確認してみてください。始める時間を相談する、問題文を一緒に読む、先生に質問する方法を考えるなど、支え方にも選択肢を用意できます。
友達との行き違いについても、相手の気持ちを勝手に決めつけず、自分が伝えたいことを整理する手伝いをしましょう。謝るかどうかを急いで決めさせる前に、何が起きて、何を嫌だと感じたのかを聞いてみてください。
ただし、暴力やいじめなどの危険を伴うことまで、本人の考え方だけで解決させようとしてはいけません。本の内容を理由に我慢を勧めず、保護者や学校など、子供を守る立場の大人が状況を確認してください。
読書の目標も、「もう相談しなくてよい子になること」には置かないようにしましょう。自分の希望を伝えたり、難しいときには手伝ってほしいと言えたりする関係を、家庭でどうつくるか考えてみてください。
子供向けの本を親子の会話につなげる読み方
本を選んだ後は、理解度を試す教材にするより、気になったことを話せるきっかけとして使ってみましょう。読了や行動の変化を急がず、子供の反応を見ながら続け方を調整してください。
ここでは、短い時間で読む方法と、家庭で一つだけ試す方法を提案します。子供が読みたくないと言ったときに休めること、大人も考え直せることを、読み始める前から共有しておくと取り組みやすいでしょう。
一度に一つの話題を読み、答えを決めずに感想を聞く
親子で読むなら、最初は一つの話題だけに絞り、長くても負担を感じる前に終える進め方がおすすめです。毎日何ページと約束するより、まず一回読んでみて、量や時間を本人と相談してください。
読み終わった後は、「この話は何を教えているでしょう」と正解を求める質問を避けましょう。「わかると思ったところはある?」「違うと思ったところはある?」と、どちらの感想も話せる聞き方を試してみてください。
子供が「よくわからない」と答えたら、その日はそこで終えても構いません。大人が説明を足す場合も長い講義にせず、自分が思い浮かべた出来事を一つ紹介する程度から始めましょう。
例えば、親が「急いでいて、人の話を最後まで聞けなかった」と自分の経験を話す方法があります。子供の失敗を例にするより、まず自分の迷いを示して、一緒に考える話題にしてみてください。
感想を書かせたり、家族の前で発表させたりすることも、最初から決まりにしなくて大丈夫です。付箋を貼るだけ、好きなページを開くだけなど、その子が無理なく参加できる形を選び、話したくないことは話さなくてよいと伝えましょう。
家庭で一つだけ試し、合わなければ読み方も見直す
読んだ内容を生活につなげたいときは、子供に課題を与える前に、大人が変えてみたい行動を一つ選んでください。「話の途中で結論を言わない」「手伝う前に必要か聞く」など、自分で取り組めることから始めましょう。
子供も何か試したいと言った場合は、具体的で小さな行動を本人と相談します。「友達と絶対にけんかしない」ではなく、「嫌なことがあったら、落ち着いてから言葉で伝えてみる」など、結果まで約束させない形がおすすめです。
後で振り返るときも、できた回数を採点するより、やってみてどう感じたかを尋ねてください。難しかった場合は、努力不足と決めつけず、場面や方法が合っていたかを一緒に考え直しましょう。
本が負担になっているなら、読むのを休む、別の本に替える、親だけで読むといった変更もできます。親子の会話が増えるどころか注意ばかり増えたなら、本を子供の評価に使っていないか振り返ってみてください。
子供向けのアドラー心理学の本選びでは、知名度よりも、本人の関心と読める文章量を優先しましょう。まずは候補の一冊を試し読みし、親子で気になった一つの話題を話すところから始めてみてください。
よくある質問
子供向けのアドラー心理学の本は何歳から読ませればよいですか?
本記事では、年齢だけで開始時期を決めず、試し読みで本人の関心と理解しやすさを確かめる選び方をおすすめします。幼い子供なら、大人と一緒に一つの話題を読むところから始めてください。
難しい言葉を説明し続けなければ読めない場合は、いったん見送っても構いません。一人で読む場合は、ふりがなや文字の大きさに加え、登場する悩みが本人に身近かも確認しましょう。
早く読み始めることより、読みたいと思える一冊に出合うことを優先してください。
子供自身が読む本と、親が読む子育て本はどう選び分けますか?
まず、今回の読書で誰の疑問を整理したいのかを考えましょう。子供が友達との付き合い方を考えたいなら、本人が読める言葉と身近な場面で説明された本を探してください。
一方、親が怒り方や声かけを見直したいなら、保護者向けの本を選ぶほうが目的に合います。タイトルに「子供」と入っているかだけで判断せず、目次と本文を確認することが大切です。
迷う場合は親が先に読み、子供に渡す必要があるのかも含めて考えてみることをおすすめします。
読書が苦手な子には、漫画形式の本を選ぶべきですか?
漫画形式も候補ですが、形式だけで決めず、本人が数ページ読んで続きを読みたいと思えるか確認しましょう。吹き出しの言葉が難しくないか、登場人物の悩みが身近か、説明文が長すぎないかを見ることをおすすめします。
漫画を好まない子なら、短い文章を一緒に読む方法でも構いません。最初は一冊を読み切る約束をせず、気になる話題だけ選んでみてください。
本を開くこと自体を嫌がるときは、無理に勧めず、大人が読む選択に切り替えても大丈夫です。
子供が本の考え方に反発したら、どう対応すればよいですか?
まず、どの部分に違和感があったのか、話したい範囲で聞いてみてください。「有名な本だから正しい」と説得したり、理解が足りないと決めつけたりしない読み方をおすすめします。
大人も納得できなかった箇所があれば、その理由を話して構いません。本の説明と自分の経験を比べる時間にして、同じ結論にそろえることを目標にしないでください。
議論が負担になる場合はそこで終え、別の日に読むか、本そのものを替えるかも本人と相談しましょう。
本を読ませれば、友達関係や親子関係の悩みは解決しますか?
本を読ませることだけを解決策にせず、何に困っているのかを本人の言葉で聞くところから始めてください。読書は考えを整理するきっかけとして提案し、読後の変化を約束させないようにしましょう。
親子で取り入れる場合も、子供だけに努力を求めず、大人が変えられる接し方を考えてみてください。困りごとが続く場合や家庭だけで対応しにくい場合は、担任や学校の相談担当者などに状況を伝えましょう。
本を読めるようになるまで相談を待つ必要はありません。
子育ての困りごとが背景にある場合は、本選びと並行して、学校や地域の子育て相談窓口に話してみることも一つの方法です。


