アドラー心理学に興味はあっても、「初心者はどの本から読めばよいのか」「『嫌われる勇気』は難しくないのか」と迷っていませんか。最初の一冊は、有名かどうかだけでなく、自分にとって読み進めやすいかどうかで選んでみましょう。
この記事では、初心者の入り口としておすすめしたい本を4冊紹介します。それぞれの特徴と向いている人を整理し、本の選び方、読む順番、学んだ内容を日常に取り入れる方法まで解説します。
すべての本を買ったり、専門用語を一度に覚えたりする必要はありません。まずは今の関心に合う一冊を選び、自分の生活と照らし合わせながら読んでみてください。
アドラー心理学の初心者が最初に読みたい本
最初に検討したいのは、対話を追いながら考える本と、マンガの場面から理解を広げる本です。ここでは『嫌われる勇気』と『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』を、入り口の候補として紹介します。
どちらが優れているかではなく、自分が続きを読みたいと思えるかを基準にしてください。じっくり問いを考えたいなら前者、具体的な場面を手がかりにしたいなら後者から試し、文章や構成との相性を確かめるのがおすすめです。
『嫌われる勇気』|対話を通じて自分の考え方を見直したい人に
『嫌われる勇気』は、岸見一郎・古賀史健によるダイヤモンド社の本です。哲人と青年の対話を通じて、対人関係、承認欲求、課題の分離、共同体感覚などを扱っています。
初心者におすすめしたい読み方は、哲人の説明だけを正解として覚えるのではなく、青年の疑問にも立ち止まることです。「頭ではわかるけれど、実際には難しい」と感じたところに、自分が考えたいテーマを見つけてみましょう。
たとえば、人からどう評価されるかが気になるなら、読後に自分の行動を振り返ってみてください。「意見を伝えたかったのか、それとも反対されないことを優先したのか」と問い直す材料にできます。
一方で、強い言い切りに戸惑ったときは、その場で賛成する必要はありません。印象に残った言葉だけを生活上のルールにせず、前後の議論も含めて読み直す姿勢を大切にしましょう。
この本を選ぶなら、まずは冒頭の対話を試し読みすることをおすすめします。会話の展開が気になり、反論しながらでも読み続けたいと思えたら、最初の一冊として検討しやすいでしょう。
『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』|具体的な場面から学びたい人に
『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』は、岩井俊憲著、星井博文シナリオ制作、深森あき作画の本です。日本能率協会マネジメントセンターから出版され、洋菓子チェーンで働く主人公の物語を交えながら、アドラー心理学を説明しています。
抽象的な説明から入るより、「この場面で自分ならどうするか」と考えるほうが取り組みやすい人にすすめたい一冊です。読書に慣れていない場合も、まずは登場人物の困りごとを追うことから始めてみましょう。
読み進める際は、主人公と自分の立場が違っていても、似ている気持ちや行動に注目してください。仕事で指示が伝わらない場面を、家庭でお願いが伝わらない場面に置き換えるなど、自分なりの接点を探せます。
ただし、マンガの展開をそのまま現実の正解にするのは避けましょう。同じ声かけを使うよりも、相手をどう見ていたか、何を確かめずに判断していたかを考える読み方がおすすめです。
購入前には、マンガだけでなく説明部分も開いてみてください。絵柄の好みに加えて、解説の文章が無理なく読めるかを確認すると、最後まで付き合える一冊か判断しやすくなります。
基礎の整理と実践に向けて読みたいアドラー心理学の本
一冊読んだあとに、用語の意味を整理したくなったり、日常でどう使えばよいか考えたくなったりすることもあるでしょう。次の本は、最初の一冊で残った疑問に合わせて選ぶのがおすすめです。
ここでは、説明を読みながら基礎を整理したい人に『アドラー心理学入門』、対話をさらに読み進めたい人に『幸せになる勇気』を紹介します。読書の順番を義務にせず、「次に何を知りたいか」を決めてから手に取ってみてください。
『アドラー心理学入門』|人物背景と考え方を整理したい人に
岸見一郎の『アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために』は、ベストセラーズから出版されています。アドラーの人物背景をはじめ、育児や教育、対等な関係、基礎理論などを扱う構成です。
物語を追うよりも、テーマごとの説明を読みながら整理したい人におすすめします。ほかの本で知った言葉について、「これはどのような考え方につながるのか」と確かめるために読むのもよいでしょう。
たとえば、対人関係の工夫だけを知ろうとするのではなく、その工夫が何を目指しているのかにも目を向けてみてください。言い方を変えることと、相手を対等な存在として扱うことを、自分の中で区別しながら考えられます。
読み方としては、気になった用語を一つ選び、自分の言葉で短く説明してみる方法を提案します。説明できない箇所があっても急いで調べ尽くさず、そのページに印を付けて先へ進んで構いません。
文章中心の入門書が好きなら、二冊目ではなく最初の一冊に選んでもよいでしょう。「入門」という題名だけで難易度を決めず、試し読みで説明の細かさや文章の調子が自分に合うか確かめてください。
『幸せになる勇気』|理解と実践の間で生まれた疑問を考えたい人に
『幸せになる勇気』は、岸見一郎・古賀史健による『嫌われる勇気』に続く本です。教師となった青年と哲人の対話を通じ、教育、自立、尊敬、協力、愛などのテーマを掘り下げています。
初心者には、先に『嫌われる勇気』を読み、自分なりの疑問を持ってから進む順番をおすすめします。「考え方には納得したけれど、人と関わる場面ではどうすればよいのか」という問いを持って読むとよいでしょう。
読む際には、誰かを上手に変える方法を探すより、自分が相手にどんな態度を取っているかを振り返ってみてください。助言のつもりで話していても、相手の事情を聞かずに結論を急いでいなかったか、と考える読み方です。
また、本の考え方と実際の生活が一致しないと感じたときは、その違いを記録しておきましょう。家庭や職場の役割、時間の余裕、相手との関係などを分けて考え、何が難しさにつながっているのかを整理します。
読後に大きな行動を起こす必要はありません。次の会話では助言の前に一つ質問するなど、負担の小さな試みを選び、その経験を持って気になった章に戻ることをおすすめします。
初心者が自分に合うアドラー心理学の本を選ぶ基準
紹介した4冊を一度にそろえる必要はありません。選ぶときは、「何を考えるために読むのか」と「どの形式なら読み続けられそうか」を先に整理してみましょう。
知名度や評判は参考になりますが、最初の一冊を決める唯一の基準にしなくても大丈夫です。ここからは、読みたい目的の言葉にし方と、目次や試し読みで確認したい点を説明しますので、購入前の比較に役立ててください。
漠然とした悩みを、読書で考えたい一つの問いに変える
本を選ぶ前に、アドラー心理学を知りたい理由を一文で書いてみましょう。「人間関係をよくしたい」だけで終わらせず、どんな場面で困っているのかまで具体的にしてみてください。
たとえば、「頼まれると断れず、自分の予定を後回しにしてしまう」と書けば、読書で考えたい場面がはっきりします。「子どもが動かないと何度も注意してしまう」なら、声かけや関わり方に関心があると整理できるでしょう。
次に、その悩みについて、理由からじっくり考えたいのか、具体例を見て考えたいのかを選びます。ここで紹介した本なら、対話への興味、マンガへの親しみ、説明文の読みやすさを手がかりに候補を絞ってみてください。
目的は「悩みを完全に解決する」と大きく設定しなくても構いません。「断る前に何を考えているのか知りたい」「注意する以外の関わり方を考えたい」くらいの問いから始めるのがおすすめです。
一冊読み終えたら、最初に書いた問いを見直してみましょう。答えが出たかだけでなく、問いそのものが変わったかを確かめると、次の読書で何を深めるかも決めやすくなります。
目次と試し読みで、文章・解説・扱う場面を確認する
購入前には、表紙や紹介文に加えて、目次と本文の数ページを確認しましょう。知りたいテーマが含まれているかだけでなく、そのテーマをどのくらい丁寧に説明しているかにも目を向けてください。
試し読みでは、専門用語が出たときに説明を追えるか、一つの節を無理なく読み切れるかを確かめます。わからない言葉が少しあっても、続きを読んでみたいと思えるなら候補に残してよいでしょう。
また、扱われる場面と自分の生活との距離も考えてみてください。仕事の例が中心でも自分の経験に置き換えられそうなら選べますが、その置き換え自体が負担なら別の本を検討して構いません。
紙と電子書籍のどちらを選ぶか迷った場合は、読む場所を想像してみましょう。机で前のページに戻りながら読みたいのか、移動の合間に読みたいのかを考え、自分の使い方に合わせて選んでください。
最初から何冊も購入する代わりに、一冊を試してから次を決める方法もおすすめです。読み切れなかったときも自分を責めず、文章の相性、関心、読書時間のどこに無理があったのかを見直してみましょう。
アドラー心理学の本を読む前に押さえたい基本の考え方
本を読み始めると、課題の分離、目的論、勇気づけ、共同体感覚といった言葉に出合います。ここでは暗記を目指さず、日常に引き寄せて考えるための入り口だけを整理します。
特に注意したいのは、短い言葉を、自分や相手を責めるための決まりにしないことです。「自分が選べる行動は何か」「相手と協力する余地はあるか」という問いを持ちながら、各書籍の詳しい説明へ進んでみてください。
課題の分離と目的論は、自分の行動を考える手がかりにする
課題の分離を読む際は、自分が引き受けることと、相手が決めることを分けて考えるのが入り口になります。ただし、相手の問題を放置するという意味ではなく、本人の選択を尊重しながら援助することと区別して理解する必要があります。
たとえば、仕事で提案する場面なら、説明の準備や質問への回答と、相手が賛成するかどうかを分けて整理してみましょう。相手の反応を決めようとする代わりに、自分の説明に足りなかった点を確かめるという使い方です。
また、目的論は、行動を何に向かっているものとして捉えるか、という視点です。アドラー心理学では、その目的を無条件に肯定するのではなく、他者との協力や共存という観点からも考えます。
読書の中でこの考え方に触れたら、相手の本心を決めつけるために使わず、自分の行動を振り返る問いにしてみてください。「相談したいのに黙っていたとき、自分は何を避けようとしていたのか」と、答えを急がず考えます。
そのうえで、次に選べる行動を一つ探しましょう。「次は要点をメモしてから相談する」など、実際に試せる形まで具体化するのがおすすめです。
勇気づけと共同体感覚は、相手との協力を軸に読む
アドラー心理学でいう勇気づけは、決まった励ましの言葉を使うことではありません。相手が他者と協力しながら生きていく勇気につながる働きかけとして説明され、言葉だけでなく関係や状況も含めて考えられます。
たとえば、誰かに手伝ってもらったときは、評価する言い方を探すより、実際に助かったことを伝えてみてください。「資料をそろえてくれて、打ち合わせの準備が進んだ」と、具体的な出来事に沿って話す練習です。
共同体感覚は、自分が社会の一員であり、他者を仲間として捉え、貢献できると感じることに関わる概念です。自分だけの成功よりも、他者と協力して生きる方向を重視する点が中心にあります。
この言葉を読む際は、役に立ち続けなければならないという義務に置き換えないようにしましょう。自分だけが無理をするのではなく、必要なときに頼ることも含めて、協力の形を考えてみてください。
本の事例を振り返るときも、誰が正しいかを判定するより、双方が話し合える余地に注目するのがおすすめです。相手への関心と自分の希望を、どちらも言葉にできるかを考えてみましょう。
アドラー心理学の本を読み終えてから実践する方法
読書の目標は、用語をすべて覚えることだけではありません。自分の生活を振り返り、これまでとは違う行動を一つ検討することも、学び方の選択肢にしてください。
ここでは、読書メモを残す方法と、一週間を目安に小さく試す方法を提案します。一週間という期間は成果が出る期限ではなく、無理なく振り返るための区切りなので、生活に合わせて短くしたり長くしたりして構いません。
読書メモは、気づきと疑問を自分の言葉で残す
初心者には、読んだ内容をすべて要約するより、一回の読書で気になった点を一つ残す方法をおすすめします。理解できたことだけでなく、納得できなかったことや、まだ説明できない言葉を書いても構いません。
たとえば、「相手の評価を気にしない」という言葉が気になったなら、自分の中でどこまで賛成できるかを考えてみましょう。「評価を完全に無視したいわけではないが、反応が怖くて意見を言えない状態は見直したい」と書く方法です。
続けて、その気づきに結びつく出来事を一つ思い出してください。会議で発言を控えた場面、友人の誘いを断れなかった場面など、実際の経験に絞って記録すると読み返す手がかりになります。
最後に、次に試すことか、もう一度読みたい箇所を添えておきましょう。「次の会議では確認の質問を一つする」「相手への配慮について説明した箇所に戻る」といった内容で十分です。
メモを取ることが負担なら、ページ番号と短い感想だけでも大丈夫です。本の説明に従えたかを採点するのではなく、自分が何に迷い、何を考えたかを残すために使ってください。
一週間に一つだけ試し、次の一冊は残った疑問で選ぶ
読んだあとに行動を試すなら、生活全体を変えようとせず、一つの場面に絞りましょう。「頼みごとをされたとき、その場で引き受けず予定を確認する」など、実行したか確かめられる行動がおすすめです。
始める前に、どの場面で何をするかを短く決めておいてください。「自分らしく生きる」よりも、「金曜日の打ち合わせで自分の希望を一つ伝える」と具体化すると、試す内容を明確にできます。
振り返るときは、相手が喜んだかどうかだけで判断しないようにしましょう。自分の希望を丁寧に伝えられたか、相手の事情も聞いたか、無理な約束をしなかったかを順番に確かめてみてください。
うまくいかなかった場合は、意志の弱さと決めつけず、行動の大きさやタイミングを見直します。言葉を準備しておく、落ち着いて話せる時間を選ぶなど、次の試みを少し調整するだけでも構いません。
次の本を読むのは、その過程で知りたいことが出てからでも遅くありません。アドラー心理学の本を冊数で競うのではなく、自分に合う一冊を読み、考え、小さく試すところから始めてみましょう。
よくある質問
アドラー心理学の初心者は、最初にどの本を選べばよいですか?
最初の一冊は、知名度だけでなく、自分が読み続けられそうかを基準に選んでみてください。本文で紹介した候補から、会話を追うのが好きなら『嫌われる勇気』、具体的な場面から考えたいなら『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』を試し読みするのがおすすめです。
文章を読んで疑問を深めたいのか、身近な例と結びつけたいのかも考えてみましょう。最初から一冊に絞り切れない場合は、冒頭の数ページを比較し、続きを読みたいと感じたほうを選んで構いません。
『嫌われる勇気』が難しいと感じたら、どう読めばよいですか?
難しいと感じた箇所で、すぐに結論を出そうとしなくて大丈夫です。「意味がわからない」のか、「意味はわかるが納得できない」のかを分け、気になったページに印を付けて先へ進んでみましょう。
読後にその箇所へ戻り、自分の経験と照らし合わせる方法もおすすめです。文章の調子が合わなければ、別の入門書へ切り替えても構いません。
一冊を読み切ることより、自分が考えたい問いを見つけることを優先し、少しずつ理解を整理していってください。
アドラー心理学の本は、何冊くらい読めばよいですか?
必要な冊数を最初から決めず、まず一冊を読み、自分の言葉で説明できることと、疑問が残ることを整理してみてください。次の本は、その疑問を考えるために選ぶのがおすすめです。
読みやすかった本をもう一度読む方法でも構いません。たとえば、一回目は全体を読み、二回目は仕事や家庭など自分に関係する場面に絞って読み返します。
購入冊数を増やす前に、一冊から試してみたい行動を一つ選ぶと、次に何を学びたいのかを具体的に考えやすくなるでしょう。
本の内容に共感できない部分があっても、読み続ける意味はありますか?
すべての説明に共感することを読書の条件にしなくても大丈夫です。納得できない部分を、自分が大切にしたい価値観や、現実との違いを考える材料にしてみてください。
「どの場面なら参考にできるか」「どんな事情があると当てはめにくいか」と問い直す読み方をおすすめします。負担が強ければ、いったん読むのをやめたり、別の本を選んだりして構いません。
本の内容に自分を無理に合わせるのではなく、理解できたことと保留したいことを分けながら読んでみましょう。
学んだ内容を、家族や同僚に伝えてもよいですか?
伝える場合は、相手に考え方を守らせるのではなく、自分が何を考えたかを共有する形にしてみてください。「あなたも変わるべきだ」と説明するより、「自分は頼まれると無理をしがちなので、予定を確認してから返事をしたい」と具体的に話す方法をおすすめします。
相手が興味を示したら本を紹介し、関心がなければ読むことを求めなくて構いません。まず自分の声かけや聞き方を一つ見直し、そのうえで相手の希望も確かめながら、話し合える範囲を探してみましょう。
読後に考えを整理したくなったときも、一人で答えを急がず、信頼できる相手との対話に役立ててみましょう。


