はじめに
新しい部署、新しい役職、新しい顔ぶれ。
- 昇進して
- 異動して
- あるいは外部から招かれて
初めて「上司」として迎えられるとき、
そこには期待と同時に、たくさんのプレッシャーが生まれます。
そして部下の側も、
- 「どんな人なんだろう」
- 「うまくやっていけるかな」
と、少し緊張しながら新しい関係を探ろうとしています。
アドラー心理学は、
すべての人間関係を、
**「対等な横の関係」**を土台に築くことを勧めています。
ここでは、新任上司と部下によく起こる3つの葛藤をもとに、
アドラー流のあたたかい寄り添い方を一緒に考えていきましょう。
1. 信頼関係をどう築けばいいかわからないとき
◇こんな気持ち、抱えていませんか?
上司:「いきなりリーダーシップを取れと言われても、どうしていいかわからない」
部下:「どこまで本音を出していいのかわからない」
お互いに手探りだからこそ、
小さなすれ違いや、緊張感が生まれやすい時期です。
◇アドラー心理学での見立て
アドラー心理学では、
**信頼は「相手に求めるもの」ではなく、「自分から差し出すもの」**だと考えます。
- まずこちらから信用してみる
- まずこちらから歩み寄ってみる
その勇気こそが、
本当の信頼関係の第一歩です。
◇あたたかい解決アプローチ
【ステップ1】「まずは信じる」姿勢を持つ
相手の出方を待つのではなく、
自分から信じる勇気を持ちましょう。
小さな任せる行為、小さな期待の言葉が、相手の力を引き出します。
【ステップ2】完璧な信頼関係を求めない
最初から完璧にわかり合う必要はありません。
「これから少しずつ築いていこう」
そんな柔らかい気持ちで関わりましょう。
【ステップ3】まずは「聴く」ことから始める
上司も部下も、まずは相手の話に耳を傾ける。
「聴く」ことで、自然に信頼が育まれます。
2. 上司・部下の役割にとらわれすぎて疲れるとき
◇こんな気持ち、抱えていませんか?
上司:「上に立つからには、弱みを見せてはいけない」
部下:「上司には完璧でいてほしい。でも実際は…」
役職に縛られすぎると、
- 無理をしたり
- 萎縮したり
- 本音を出せなくなったり
苦しくなってしまいますよね。
◇アドラー心理学での見立て
アドラー心理学では、
どんな立場でも「対等な横の関係」を大切にすると教えます。
- 上下ではなく、役割の違いとしてとらえる
- 互いに尊重し、支え合う関係を目指す
それが、本当に健やかな職場をつくる土台です。
◇あたたかい解決アプローチ
【ステップ1】「完璧な上司・完璧な部下」を手放す
完璧を求めるほど、苦しくなります。
不完全なまま、助け合いながら進めばいいのです。
【ステップ2】「役割」と「人間性」を分けて考える
- 上司だから偉いわけじゃない
- 部下だから無力なわけじゃない
それぞれが、それぞれの強みを持った一人の人間。
そんな目で見つめ合いましょう。
【ステップ3】弱みも自然に見せ合う
「できないことは助けてほしい」
そんな一言が、ぐっと距離を縮めます。
勇気を持って素直になりましょう。
3. 意見の違いに戸惑うとき
◇こんな気持ち、抱えていませんか?
上司:「部下が思うように動いてくれない」
部下:「新しいやり方についていけるか不安」
新任だからこそ、
- これまでのやり方
- 新しい考え方
その間で意見がぶつかることもありますよね。
◇アドラー心理学での見立て
アドラー心理学では、
違いを「敵対」ではなく「協力のチャンス」と捉える視点を勧めます。
- 違いがあるのは当たり前
- そこから「よりよい方法」を一緒に探すことが大切
違いを恐れず、違いを活かす勇気が求められます。
◇あたたかい解決アプローチ
【ステップ1】違いに対してオープンでいる
「そんな考え方もあるんだね」
まずは否定せず、相手の意見を受け止めましょう。
【ステップ2】ゴールを共有する
意見が違っても、目指しているゴールは同じ。
「どうすれば、より良いチームになるか」
を共通のテーマに話し合いましょう。
【ステップ3】決定は「説明責任」とセットで
上司が最終的に決定する場合でも、
「なぜこの選択をしたのか」
をきちんと伝えれば、部下も納得感を持ちやすくなります。
まとめ
新任上司と部下の関係は、
- 手探りで
- ときにぎこちなく
- ときにすれ違いながら
少しずつ、信頼を育んでいくものです。
アドラー心理学は教えてくれます。
- まず自分から信じること
- 完璧を求めず、支え合うこと
- 違いを恐れず、協力すること
それが、
本当にあたたかく、力強いチームをつくる道だと。
今日、勇気を出して一歩踏み出したあなたの行動は、
きっと未来の絆を育てる種になっています。